用賀の家

まちに建つ住宅はすべて道路に面していて、そこに大小さまざまな窓を設けることになる。
敷地を歩いてみると、どこか人どおりに対して遠慮するようにパラパラと窓が設けられていて
しかも内部の間取りを白状してしまっている。必然的にお風呂などプライバシーの高い空間は道路から離れた場所に計画されるし、カーテンは閉めっぱなし、塀で囲ってしまったりもする。そんな忖度にも似た計画の仕方から解放され、もっと自由に堂々とした建ち方にならないかと考えた。

そこで敷地いっぱいに外壁を建て、その中に入れ子状に住空間と庭を配置した。
二重の外壁を持つため、諸室の配置や様相がファサードにあらわれず、また、建物のファサード自体も内部の構成と無関係に開口部を計画でき、建物は二重の意味で解放される。

さらに中庭とそこに隣接する室内に大きな吹き抜けを設け、内外にわたりその吹抜けを連続させている。2つの吹抜けは建物の形状やその配置のため、それぞれ1-2階と2-ロフト階にまたぐように配置されているため、道路面からまるで階段状に吹抜けが計画されているのである。この吹抜けが光を敷地の奥までしっかりと届け、建物の面積以上の広さや解放感を作り出している。

敷地いっぱいの外壁と吹抜けで、家の中に「家の中」であり「街の一部」のようなニュートラルな空間を入れ込んで、都市住宅に詰め込むだけの計画ではなく、大きなあいまいさを持たせた。設計中にお子さんが生まれ、今もお子さんの成長に合わせて、家はどんどん変化している。このあいまいさはその変化を容易に受け入れ、設計当初は予期していなかった使われ方に、空間に変貌している。そしてそれこそが生活の豊かさにつながるはずだ。

*共同設計プロジェクト